買うときと同じくらい
手放すときにもドラマがある
とある夫婦の話。
夫は永い間大切にしてきたお茶道具を売りに
骨董品屋を訪ね歩いてはため息をついていた。
彼の望む金額を受け入れてくれる古物商がいなかったのだ。
途方に暮れる夫に、一人の男が声をかけた。
「どうしてそんな大金が必要なのか。」
夫は、ぽつり、ぽつりと話しはじめた。
夫は陶芸、妻は絵画が趣味であること
家には二人の作品が所狭しと飾られていること
二人でそれぞれの作品を並べて一緒に展示会を開いたこと
そのことが、生涯色あせない大切な思い出であること
妻がアルツハイマーになり
絵が描けなくなってしまったこと
それでも夫は陶芸作品をつくりつづけてきたこと
そしてもう一度、
かつて妻が描いた作品と夫の新作を並べて、展示会を開きたいこと・・・
男は話を聞いて心を打たれ、夫の希望する金額でお茶道具を買い受けた。
夫は大喜びで、「必ず招待する」と約束した。
1年後、夫婦の展示会に訪れた男は思った。
「いい買い物をした。」
男の瞳には、夫婦がこの上ないほど幸せそうに映っていた。
買い受けの その先を
あなたとともに 喜ぶために
古美術昇華堂
古美術昇華堂とは
古美術昇華堂は、茶道具、骨董品、日本刀、掛け軸、絵画など、日本美術をはじめ世界各国の古美術専門の買い受けを行っています。
お客様に納得して品物をお譲りいただけるよう、古美術への深い造形と専門知識をもった鑑定士が目利きをすることはもちろん、その品物の価値がどのように決まるのかを、美術史やその品物がつくられた時代の歴史を紐解きながら丁寧に説明させていただきます。
また、そのお品物の良さをお客様と語り合ったり、そのお品物が故人の遺品だった場合は、故人を偲ぶお客様に寄り添いながら思い出話を聞かせて頂いたりと、お客様がお品物を手放す瞬間がかけがえのないひとときになるよう努めています。
そして、お客様からお譲りいただいた古き良き大切なお品物を、次の方、次の世代へと繋いでおります。
平野 雄大
1979年愛知県生まれ。呉服生地などを扱う繊維問屋の家系で育ち、幼少期から茶道・華道・書道に触れ、日本の伝統文化に高い関心を抱くようになる。また、親族に経営者が多かったこともあり、幼い頃から経営にも興味を示していた。学生時代には東南アジアへ渡り、そこで見つけた面白いものを日本に輸入しては販売していた。大学卒業後、大手100円ショップSeriaに約10年勤め、独立。株式会社XOを立ち上げ、代表取締役社長に就任。日本古来の文化や芸術への深い造形を活かし、古美術や骨董品の買い受けを行う「古美術昇華堂」や貴金属やブランド品などの買い受けを行う「ベストフレンド」の運営している。趣味は相撲観戦と読書(とくに司馬遼太郎)。尊敬する人は高倉健。グッズの収集はもちろん、聖地巡礼にも赴いている。
お客様が品物を手放すときのストーリーに寄り添う
初任給で両親に贈った江戸切子のペアグラス、頑張った自分へのご褒美で買った腕時計・・・人は、特別な一品を買うとき、その一品に対する気持ちを確認したり、それを買った先の未来に想いを馳せます。
では、特別な一品を手放すときはどうでしょうか。
あまり意識されていませんが、手放すときも買ったときと同じようにドラマに溢れています。冒頭のドラマティックな夫婦の話も、ほとんどが実話。でも、希望金額を満たすため、実はさらにもう一品、大切なお品物を買い受けています。つまり、他の骨董商でも品数を増やせば希望金額を満たせた可能性があったのです。しかしそうはせず、私にだけ譲ってくださった。それは、ときには一緒に涙を流しながら、ご主人の気持ちにとことん向き合ったからだと信じています。
特別な一品を手放すときには、「お金が必要だから」以上のストーリーがあります。そのストーリーに寄り添い、お客様と一緒にその先を紡いでいけたらと思っています。
お客様に納得してお譲り頂くことを第一に考える
以前、父の形見だという30本の日本刀を持ってこられた方がいました。その方はもう何件も骨董商を訪ね歩いており、「鑑定士によって金額が違う。本当の価値が知りたい。」と私のもとにいらっしゃいました。
この方は高く売りたくて骨董商を回っていたのではなく、「父が何を遺したのか」を探ることで、“父をめぐる旅”をされていたのだと思います。私はそれぞれの刀の価値を丁寧に説明した上で買い受けさせていただき、さらに実際のオークションでいくらの値が付いたのかを正式にお伝えすると約束しました。
売値が買受額を大幅に上回ることもあるため、他の骨董商では絶対にやらない大胆な試みでしたが、お客様の気持ちに向き合いたい一心でした。お客様は大変喜んでくださいました。
このことがきっかけで、30万円を超える高額な買い受けをさせていただいた場合には、実際に売れた金額をお伝えするようになりました。さらに現在は、売値から買値を差し引いた金額の半分をお客様にお戻しするという業界唯一の取り組みに励んでいます。
日本古来の美しい美術や文化を次の世代に継承する
呉服生地などを扱う繊維問屋の家系に生まれ、茶道・華道・書道などの伝統文化に触れていたこと、そして象牙や香炉といった美術品に囲まれて育ったこともあり、小さい頃から日本古来の美しいものに心惹かれていました。小学校の中学年になる頃には、図書館にこもって古美術に関する本や美術史の本を読みふけることもありました。今振り返ると、この頃に今の職業への萌芽が芽生えていたのだと思います。
古美術の買い受けをしていて一番やるせない気持ちになるのは、「不用品回収業者に価値のある美術品を不要品として処分されてしまった」というお話を伺うときです。うんざりするほど耳にしてきましたが、それでも聞くたびに胸が痛みます。
お客様がお持ちになっている美術品は、次世代に繋ぐべき価値あるものかもしれません。ものの価値をきちんと鑑定し、次世代に繋いでいくことは、日本の美しい伝統文化を守ることであり、それこそが古美術昇華堂の責務だと強く感じています。
お願い
この度、古美術昇華堂では「お弟子さん制度」として、私たちの想いに共感してくださる方を募集します。
「お弟子さん」には古美術買受の基本的な知識をお教えし、私たちと一緒に定期的に古美術の買受イベントをしていただきます。
古美術や買取に関する専門知識は必要ありません。必要なのは3つのマインドです。
一、地域の方の役に立ちたい
と思っていること
古美術骨董品屋は、「窃盗・強盗・骨董」と言って、3大悪党の1つに数えられてしまうほど悪徳業者が多いと言われています。安い価格で価値ある美術品を強奪し、高い値段で売りさばいて儲けを得ている彼らは、生前整理や遺品整理、不要品の片付けをしようとしている高齢者を狙っています。悪徳業者から高齢者を守り、適正な値段で美術品を買い受けることは、防犯上の意味でも経済的な意味でも、高齢者の暮らしを支えることに繋がります。
二、地域の方とじっくり話してみたい
と思っていること
古美術・骨董品買い受け業は、リサイクルショップとは異なり、大切にしてきた一品や個人の遺品など、思い出のつまった品物を買い受けることも多いので、お客様の昔話に花が咲くこともよくあります。多くの方にとって、自分の思い出話を話すのは楽しい時間です。そのときにお客様の話にじっくり耳を傾けると、深い信頼関係が築けます。今よりもう1歩、地域の方との関係性を深めたいと思っている方にぜひ挑戦していただきたいです。
三、日本の伝統文化に
興味関心があること
古美術に強い関心がある必要はありませんが、「桜の季節が好き」とか「年賀状は欠かさず贈っている」といったように、何か1つでも日本らしい文化が好きであることは重要なポイントです。この気持ちがないと悪徳業者になりかねません。お客様から譲っていただいた大切な一品を、次の方に繋ぐことは次世代に日本の文化を継承することに繋がります。そのことに少しでも誇りをもっていただける方に協力していただきたいです。
詳しい内容については、下記のお問い合わせフォームより、お気軽にご相談ください。